「たくさん寝たはずなのにスッキリしない」「夜中に目が覚めてしまう」「寝つきが悪い」など気になったことがある方もいるかもしれません。
現代人は忙しい毎日のなかで、なにかと犠牲にしてしまうのが睡眠時間です。
「質の良い睡眠」をとるためには、長時間寝れば良いわけではありません。
最近は睡眠の「量」ではなく「質」が重視されるようになってきています。
質の良い睡眠とはどのようなことを指すのか、質の良い睡眠をとるためはどうしたらよいのでしょうか。
睡眠に関しては多くの研究がなされていますが、まだ未知な部分もあります。
今回は分かっている範囲での睡眠の質を上げる方法や、睡眠の質が重視される理由を解説します。
この記事がみなさんのお役に立てれば幸いです。
目次
質の良い睡眠とは

質の良い睡眠とは次の3つがポイントです。
スムーズに入眠できること
深く眠れたと実感すること
スッキリと目覚めること
睡眠は、身体の機能の修復や、体温の調整に関わるホルモンの分泌量とも深い関わりがあります。
ホルモンの分泌量は代謝促進や自律神経を整えることにもつながり、睡眠の質を上げることで身体の機能を修復することだけではなく、脳の疲労の蓄積も予防する効果が期待できます。
厚生労働省の資料では、以下のような状態が質の良い睡眠だとされています。
規則正しい眠りと覚醒のバランスが維持できており、夜と日中と夜のメリハリがある
十分な睡眠時間が確保できており、昼間に居眠りをしたり強い眠気に襲われたりすることはなく、心身共に健康な状態で過ごしている
夜中に目が覚めることが少なく、睡眠時間が安定している
朝スムーズに目覚める
起床後にすぐに活動できる
ベッドや布団に入ってから短時間で眠れる
ぐっすり寝たという感覚を得られている
昼間の疲労感が少ない
厚生労働省による質の良い睡眠の評価指標
質の良い睡眠のメリット

睡眠の質が良いと次のようなメリットがあるとされています。
生活習慣病の予防ができる
充分な質の良い睡眠は、交感神経と副交感神経をバランス良く安定させて、自律神経の働きを正常にします。
自律神経が整うと血圧が安定するため心疾患や脳血管疾患などの生活習慣病の原因となる高血圧や動脈硬化の予防効果があります。
疲労回復作用がある
身体を休めるためには、睡眠をとることが何よりも大切です。
疲労回復には良質な睡眠をとって身体を休めることで高い効果を発揮します。
ふだん自覚症状がない方でも身体や脳の疲労が蓄積するものです。良質な睡眠をとって身体を休めることは非常に重要です。
ストレス解消・精神を安定させる
睡眠不足が続くと、不安感・抑うつ感・妄想被害などを感じやすくなります。
睡眠不足により脳の情動と感情の処理や直観力、ストレス反応に重要な役割を果たす「扁桃体」が活発化することでストレスや抑うつ、不安障害といった症状にかかってしまいやすくなります。
質の良い睡眠で、脳内の分泌物質を正常に作用させることで、うつ症状も緩和する効果が期待できます。
肥満予防
質の良い睡眠をとることで、食欲をコントロールする「グレリン」と「レプチン」と言う二つのホルモンが正常に働きます。
「グレリン」は食欲を増加させる働きが」あり、「レプチン」は食欲を抑えてエネルギーの代謝に作用する働きがあります
これにより食欲のバランスが保たれ、食べすぎる心配がないため、健康な状態を維持できるのです。
記憶の定着
睡眠は、不要な情報や感情を整理して、記憶力を高める作用があります。
美肌効果
肌のターンオーバーを正しく作用させるためには脳下垂体から分泌される「成長ホルモン」と、松果体から作られる「メラトニン」のバランスを整える必要があります。
これらのホルモンバランスを整えて美肌効果が期待できます。
「成長ホルモン」 日中に受けた紫外線のダメージや肌への刺激を修復する役割
「メラトニン」 成長ホルモンの分泌を促す。高い抗酸化作用があり、エイジング効果もある。
質の低い睡眠が及ぼす影響

睡眠の質が悪いと上記と逆の影響が出てきます。
生活習慣病のリスク増加
疲労が取れない
ストレスの増加
集中力・判断力の低下
免疫力の低下
これらを考えるとなるべく睡眠の質を良くしたいですよね。
質のいい睡眠をとる方法

それでは睡眠の質を上げる方法にはどのような方法があるでしょう。
起床後すぐに日光を浴びる
起床後、すぐに太陽の光を浴びることが大切です。
朝起きたらカーテンを開けて、太陽の光に当たりましょう。
人間の体内時計は、24時間より少し長めの周期を繰り返しています。起床直後に太陽の光を浴びることによって、体内時計がリセットされます。
体内時計をリセットしないと時間がずれ込んで、身体のリズムが狂ってしまいます。
日光を浴びることによって体内リズムが正常に戻され、睡眠を誘う「メラトニン」が正常に分泌されることで、質の良い睡眠がとれます。
朝食はしっかり食べる
食事も睡眠品質を向上させるうえで重要です
朝食をしっかり食べないと、日中に活動するためのエネルギーが減少してしまいます。活動量が少ないと、夜の睡眠に影響します。
また朝食は、体内時計の乱れを整える効果もあり、血流を促して身体や脳を目覚めさせる効果もあります。
日中に元気に活動するためにも、パフォーマンスアップのためにも、朝食をしっかり食べることが大切です。
適度な運動をする
軽いエクササイズを習慣化することによって、身体が疲れを感じるため入眠直後に深い眠りにつけます。
人間は体温が下がるときに寝付きやすくなります。就寝前に運動を行うことで、ベッドや布団に入ったタイミングで深部体温が下がり、入眠しやすくなります。
運動のタイミングも重要で夕方から夜の間で、眠る3時間前までに行うのが効果的であるといわれています。
ただし、就寝前の激しい運動は身体に負担がかかり、神経が高ぶり興奮するために睡眠の妨げとなります。
心地良い睡眠のためにはストレッチやウォーキングなどの軽い運動が望ましいとされています。
睡眠に適した環境を整える
環境を整えることが大事です。
睡眠の妨げとなる「光」や「音」を少なくすることで睡眠の効果をより高めることができます。
室内の温度・湿度が適切に保たれていて、静かで暗い環境は、睡眠の質を高めます。
必要に応じてエアコンや加湿器などを活用するのもよいです。
人間は寝ている間に大量の汗をかくため吸湿性が高く、保温性もある寝具を使いましょう。
マットや布団は適度な硬さがありますが、個人差もあるので寝具屋さんでアドバイスを受けるのが良いでしょう。
枕も同様に肩や首に負荷がかかりにくい自分の体型に適した高さや硬さのものを使用しましょう。
寝室を清潔にすることも重要です。布団などのホコリが蓄積しやすいため、こまめに掃除をしましょう。
空気清浄機を置くのも良いでしょう。
夕食を早めに済ませ食べ過ぎない
消化器官が食べ物を消化するためには3時間ほどの時間がかかるため、早めに夕食を摂るのが良いとされています。
食べ物を食べた直後は胃腸が活発に働いているため入眠の妨げになるからです。
アルコールは入眠効果が期待できますが、発汗作用や利尿作用があるため、深夜にのどが渇き覚醒しやすくなり睡眠の質の低下を招きます。
夕食を食べる時間が遅くなってしまう場合には、夕方頃に軽食を取って、帰宅してからは少量の夕食を摂るとなど工夫して食べることによって胃腸に負担がかかりにくく質の良い睡眠をとることができます。
コーヒーなどに入っているカフェインは、眠気が覚めてしまうので就寝前には摂らないようにしましょう。
ぬるめの入浴でゆったりと
質の良い睡眠をとるには、入浴をシャワーで済ませず湯舟に使ってリラックスすることが大切です。
脳が覚醒していると寝付けなくなるため、リラックスした状態で布団やベッドに入れるよう、就寝の1時間半前には38~40程度のぬるめのお湯に浸かりましょう。
入浴は深部体温を上昇させるため、運動と同じ効果があります。血行を促進するため、血が全身にめぐることで深部体温が上がり、その後上がった体温を下げる体の作用によって体温が下がり睡眠に入りやすくなります。
半身浴も効果があるため、好みやその日の体調に合わせて入浴方法を選びましょう。
まとめ

健康な身体づくりには、睡眠を正しくとることが大切です。
日中や夜の過ごし方を少し工夫するだけで、睡眠の質をあげることは可能です。
正しい睡眠がとれないと、生活習慣病や精神的ストレスにもつながるほか、免疫力や判断力が低下してしまいます。
一方、質の良い睡眠をとると日中のパフォーマンスにも良い影響を与え、疲労回復や肥満防止などの身体を正常に働かせる効果が期待できます。
健康第一なのは言うまでもありません。
健康のために睡眠の質を高めましょう。
そのために日常の過ごし方を今一度見直してみましょう。
この記事がみなさんのお役に立てれば幸いです。
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